ぼちぼち堂

会津の片隅で、古本屋オヤジと定食屋オカミになりたい夫婦もんの徒然

いいでのゆ

 朝から本棚をゴシゴシしていると、はなみずがタラタラ、目はシバシバ。同病のご同輩はご承知かと思いますが、ここ数日の好天で会津でもとうとう花粉が大量に舞い始めたようです。もしかしたら木肌のテカリが良くなるかもと思いましたが、作業中止。

 で、午後からは背徳の昼下がり日帰り温泉

f:id:bochibochidou:20160307213818j:plain雨にけぶる黒森山

 黒森山という、なんとも素敵な山懐に抱かれた「いいでの湯」

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 ここは、いつも家の近くから眺める飯豊山の登山口にある温泉です。少し茶色に濁った温泉は、温度が高すぎて水を足しているとか。

 ポチポチと降りはじめた雨に打たれながら一人露天風呂につかる至福の時。ふと目の前の光景を見れば、見渡す限りの杉林、杉林。そうか俺は、アレルギーに耐えかねて温泉に逃げ出してきたのに、そこはアレルゲンの真っ只中だったんだ。

 日本のこの膨大な杉林は、戦後復興政策の結果の成れの果てであったとか。その時は必要な施策であったのかもしれませんが、建築資材の変化や、グローバル経済の効率性とやらの世の中の素早い変化に取り残されてしまったんでしょうなぁ〜。5年前の震災に関わる声高の復興も、今は目に見えない何がしかの矛盾を孕みながら進められているのでなければいいのになぁ〜。

 それでも、目の前に見える杉林は、日本の山里の正しい姿に見える。君たちは悪くない、君たちは今まで通り、冬の寒さと雪に耐え、水分を吸い上げ、お日様に向かって伸びていけばいいんだよ、と思えてしまう。なぜだろう。

 こんな全体としては間違っているのに、なぜかウンウンと受け入れてしまう。そんな哀愁漂う、「コクのある人間と人生模様」をギャンブルの世界で描いた、阿佐田哲也

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 直木賞を始め数々の受賞歴のある、色川武大の別名。雀聖とよばれた人のいわゆる麻雀小説である。有名なところでは、イラストレーターの和田誠がメガホンを取った麻雀放浪記かな。この人の描くギャンブラーたちは本当に怪しく薄汚れエネルギーに満ち溢れ、コクのある人生を展開しています。

 ちなみにオヤジとしては、ここ数日続いているロマンチック路線の本の紹介のつもりなんです。(きっぱり)